森の中の村に帰ってきた。
本当は3月に10日間帰る予定だったけど、例の騒動で帰れず仕舞いだった。
ようやく。
落ち着きすぎるぐらいに落ち着く。
家のある旧集落へ帰る時のボートで、木々の香りのする重厚な空気を肺いっぱいに吸い込むと「帰ってきたんだなぁ」って思う。
日の傾き、温度、明暗と共に移り変わる哺乳類や鳥、虫、そしてカエルの声。
川の流れ、雲の流れ、空気の流れ。
包みこむ星に遠くの稲光(ここは雷のホットスポットなのです)。
自然の中の生活では時計は目安でしかなくなり、街ではいつ鳴るかわからない携帯に神経を削られることもない。
取り敢えず今回は5インチと4インチの刺し網の網目だけを買ったので、ゆっくりと古くなった刺し網を修理しようと思う。
植えた果樹達はだいたい元気だ。スターフルーツやポメロ、キーライム、カラマンシー、ジャックフルーツはそれなりに実をつけていて、カシューやローズアップル、ストロベリーグァバ、アセロラ、名前ど忘れしたチューインガムの木も実をつけ始めた。その他20種くらいが40本は植えてあると思う。適当管理だけど早く大きくなるといいな。
愛犬ブッチーも元気。残念なのは長年の友だったニワトリのクノノンが死んでしまったこと。トカゲにやられたのだろう。彼の声の聞こえない朝はかなり寂しい。
2週間はここにいる予定。行動制限のなりゆき次第ではもっとかも。
今回は少し覚悟をしてきた。
ここでは僕はより本来的な自分として過ごすことができる。自然に包まれ、人との接触も少なく済み、時計や携帯の煩わしさからも解放される。
自分の内面と対峙するには、より深く覗き込むには、整理や選別をするには、これ以上の場所はない。
ツァラトゥストラが毎度じぶんのどうwに帰る気持ちがよく分かる。呼ばれるのだ。
僕にとって、水面が揺れない環境がどれだけあるだろう?深く覗くにはここしかないのだと思う。本当はもっと静かなところで隠遁したいとも思うけど、現実的には今はここしかない。
このボートしかアクセスのない旧集落は現在平常時の人口2名まで減ったのでかなり静か。賑やかだった時を知っているので、どこか寂しく、どこか嬉しくもある。静かなのは今の僕には良いこと。
取り敢えず、ケリをつけられるとまでは思っていないのだけど、どうにか方向性だけでも見つけられたらと思う。
先ずは草刈りと剪定、刺し網かな。そう過ごしているうちに何か見える筈だ。
見える、視覚型なのかな。実際に見えるというより、見えるように感じるだけなのだけど。