感じたこと、思ったことノート

主観の瞬間的垂れ流し、混沌の整理、迷子の自分探し。井戸の底から雲の上まで。

ラマダン 宗教義務の実践と意味の喪失

ラマダン(イスラム教徒の断食月)が始まりました。

イスラム教徒たちはラマダン期間中の日中は色々な欲を抑制しますが、一番主要で目に見えるのは断食でしょう。

 

ただ、僕はこの時期(正確には毎年ずれるのですが)が来るとなんだか変な気分になるのです。

断食は日が出ている間だけで、ムスリムは日が出る前に起きて『サフール』と呼ばれる食事を摂り、日中は何も口にせず、日が落ちてから『イフタール』という食事を摂ります。

このイフタールの時に出るのがバザール・ラマダンです。様々な食べ物や飲み物が屋外で販売される、とても活気に満ちた市。

日中の禁欲を耐えたか耐えなかったかに関係なく、多くの信者たちは喜びを分かち合い、この待ち望んでいた瞬間に食欲を開放します。

脱水した体に甘い揚げ物や塩辛い物、砂糖たっぷりの飲み物は身体に良くないんじゃないか…という疑問はここでは関係ないので置いておきます。

 

バザールは喜び、楽しみ、活気、色んなもので満ち溢れます。しかし、このバザールが終わった後に残るもの、それは散乱したゴミと食べ残しです。ここに凄く悶々とした変なものを感じます。これはモノがあふれる現代だから起こる事でしょう。それ以前はこうはならなかったと言い切れませんが、無駄をする余裕が無い分、ここまでは酷くなかった筈です。そしてこれよりも酷い食料廃棄が約ひと月の禁欲を達成した人たちによってラマダン明けの祝祭で起こります。また、イフタールは稼ぎ時でもあります。バザールだけでなく、ホテルやレストランでは定額食べ放題のビュッフェを開催し、好評なのです。

美味しい食べ物を純粋に楽しむのはいいことだと思うけど、もう少しどうにかならないのか。日本のお祭りも似たようなものだけど…。

 

ラマダンに対する意味付けの記事もいちいち気になります。信者を応援する為に書いてるのでしょうが、「ラマダンの健康効果」「ラマダンダイエット」「断食と徳」そういった内容のものが多いです。

 

同じようなことは日本でもいくらでも見てきました。どうしてもそうなってしまうのでしょう。でも気になる。

勿論これは僕の勝手な価値観によって、無駄に見えるので、そこに疑問を感じているだけかもしれません。Feastには文化によって込められた意味があるのでしょうから。

 

でもそれを抜きにしても、ラマダンの禁欲は、禁欲で抑圧した欲を達成感と共に開放させる為にあるのだろうか、という疑問が残ります。

僕がいつか読んだ、モスクが配布している本には『慎ましく過ごすことにより、セルフコントロールを高め、自己を向上させる』という理由付けがされていました。

その姿はラマダン明けにはありません。

 

宗教義務を達成していても、その結果はその義務が作られた意味に適っているのだろうか?

 

日中の仕事の効率が落ちてしまうのは仕方ないにしても、断食をしてない人を無意識に見下す気持ちが多くの人から僕には見えるし、かといって意味を問えば「義務だから」としか返ってこない。本当にそれでいいのだろうか。

 

明文化されたことの遂行ばかりが優先され、それが目的になってしまった結果、本来の目的が損なわれているのではないだろうか。

 

でもそんなことは関係ないのかもしれません。宗教儀礼の遂行は信者たちの団結を高め、彼らの心の拠り所としての機能は大きくなります。所属感、安心感、自己肯定感、陶酔感、団結感、それが高められれば多くの人の心は救われるのです。そのせいで同質性・排他性ばかりを増してしまうことに目を瞑れば。

 

否定的に書いてしまいましたが、実際に『宗教を実践』している人達はイスラム教徒にも、他の宗教にも沢山います。そういう人たちと会話していると、いつも感じるのは宗教に学びながらも『自分』があり、『宗教の枠』を超えていることです。以前バスで一緒になった女性は敬虔なイスラム教徒ですが、「ホーリーバイブルは読んだし、他の宗教から学ぶことは自分の宗教を高めるために重要だ」と言っていました。そういう人も少なからずいることはいます。

 

しかしそれ以上に、宗教を拠り所にしているだけの『ただの信者』が多い印象があります。意味は考えず、実践に満たされ、仲間を作り、仲間以外に刺々しくなる。これはなにも宗教に限ったことではなく、思想、科学、政治、社会、世界中で枠を作る様々な事象に見える共通なことのような気がしてます。それが僕はとても気になってしまう。だから枠が嫌い。もちろん良い面はあるのだろうけど、僕は嫌い。

 

ともあれ、行事を楽しむことは良いことだと思います。雰囲気は楽しいですし、美味しい食べ物もたくさんありますよ。

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