Aさんというある会社の元代表取締役さん(その会社を大きくした功労者らしい)がいて、その次にAさんに代わって代表取締役になった、同じく元代表取締役で現顧問のBさんがいる。
どちらの方も初老の人当たりの良い方。紳士とおっちゃんって感じ。
この2人はその会社の当時の運営、業績低迷に関して互いを責めあっている。
2人は顔を合わすことがないけれど、僕は双方と会う立場にある。
僕はAさん、Bさん、共にどちらの方もとても仕事に情熱を持っていると感じるし、過去の仕事も糧にしている人達だと感じるし、どちらもその会社が大好きな人なんだなって感じる。
なぜこの2人は啀み合わなければならないのだろう?2人が顔を合わせなが故にどちらにもいい顔をする部下の話がよりややこしくしてるんじゃないかとか、色々考えてしまう。
業績低迷だって時代的なものが大きい気がするのだけど、代表取締役という立場からすればそんなこと言うわけにもいかないのだろう。一生懸命やってただろうから、Aさんは自分が降りた後のBさんの管理が悪かったと感じるし、BさんはAさんに負債を押し付けられたと思ってる。
どちらも事実なのだろう。少なくとも当人たちにとっては。
2人の世界の話には僕は踏み込めないけど、この2人には2人の世界がない。お互いの中でそれを、外の情報と照らし合わせて作り上げているに過ぎない。
でもそれは、その人たちが持っている、持ってきた情熱の裏返しなのかもしれない。だからここまで色濃くなる。
どちらも真摯で熱心な方で、違う視点(コンサル出身と技術屋出身という違い以上の)だけど同じものを目指していたはずなのに、その仕事への思いが2人の関係を絶ったのだろうか。でもそれがまた彼らの意欲に繋がってきたのかもしれない。
そんなことを思うととても切なくなる。
話を聞いていると、この2人こそ話が合うのではないかって思うのだけど、そういう問題でもないのだ。
どちらもとても良い人。好きな人と好きな人が喧嘩をするのは悲しい。ただそれだけの話。僕にとってはね。
もっと悲しいのは、Aさんを尊敬する人が自分の中でのAさんを持ち上げるためにBさんその人を見ずに悪くいうとか、そういう時。
悲しいを通り越して虚しい。人間関係って本当に。