感じたこと、思ったことノート

主観の瞬間的垂れ流し、混沌の整理、迷子の自分探し。井戸の底から雲の上まで。

主夫な週末 『Trois Couleurs : Bleu (1993) / トリコロール:青の愛』

3日前から妻が体調を崩し、一昨日の夜は腹痛と嘔吐で眠れなかったので早朝病院へ。

心配だったけど救急外来で点滴受けてもらった薬を飲んで良くなってきた。今日は食事も食べれてるので一安心。

 

普段家事手伝いはしてはいるけど、一日中子供がいる中での家事は凄く大変だなぁと身に染みる。他の家事の合間にお片付けしても子供が散らかし、その連続で心が折れそうになるね!怒鳴りたくなる気持ちも分かるかもしれない 笑 共働きで家事もしてる人って結構いるけど、それもう人間業じゃないだろうと思う。頭が上がりませんね。

 

妻も大分良くなったし、今日は家事終了ということでやっと何か書ける!って感じなんだけど、何か書きたいと思ってたことがあったのに忘れちゃったよぅ…

 

 

まぁいいや、別のこと書く。

この前ずっと見たかったトリコロール三部作の青 "Trois Couleurs : Bleu"を観たの。

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それでね、この映画凄い当たりだったの!凄い衝撃をドーンって受けた感じ!

 

一つの曲が人間ドラマを通してストーリーと融合している作品で、いたるところで緻密な映像美にも魅かれる。

 

主役ジュリー役のジュリエット・ビノシュの演技もとても良かった!この人ってキリッとしたかっこよさと無邪気であどけない目が同居してる感じが好き。演技も切り替えが凄くて、表情が変わる度に緊迫した気持ちになる。

 

大まかに言えばこの映画は2人の死から始まる変化と繋がり、それがあったからこその形での完成 だと思う。喪失と自暴自棄の深い悲しみ。それが生んだ完成というか…。

 

前半はかなり重い内容だった。それこそ「一回中断してまた明日観ようかな…」って何度か思ったぐらい重い。

感情を外に出さない(でもどこか抑えきれない)ジュリーの性格がさらに重くしてるのと、ジュリエットの演技がベストマッチで、その相乗効果なのかな。個人的に内容も感情移入できるから、今まで映画で感じたことないくらい辛い重さに感じた。

 

『辛い経験で落ち込み、でも救いがあって』っていう内容って結構あると思うんだけど、『辛い経験で落ち込み、救いもないけど死ねないし生きれてしまう』っていうリアルな重さがある。喪失の先で「何で死ねなかったんだろう」「何で生きれてしまうんだろう」って言葉にはしないんだけど、その気持ちを常に抱いてるのは感じ取れるし、その裏腹日常をこなすうちに自暴自棄も薄れていく、生きる目的ももうないのにっていう葛藤。

それがなんか感情移入し過ぎちゃって重かった。

 

でね、順序的な見方で見れば2人の死があったからこその形での曲の完成なんだけど、宿命的な見方でその曲の、その形での完成を見ることも出来るのがこの映画の凄さだとも思う。

ジュリーは全てを捨てようとしたのに、外側から曲作りに引き戻されてしまう。それも一度ではなく。何気なく目に映る人や耳に入る音も、変化から生まれた出会いや愛も、様々なものが曲の完成に向かって一本の線になっている。共時性や集合的無意識を思わせるような作りだと思う。

この映画のテーマの『自由の愛』っていうのも、ストーリーの中の愛憎劇よりももっと大きな意味での愛なんだろうなぁとか思った。

 

あと、愛もそうなんだけど、寛容もこの映画の中ではとても大きな意味を持ってると思う。特に後半はその要素が強くて、安心しながら観れた。

 

各登場人物の寛容さと人間らしさに支えられる愛。愛があるから寛容なのか。わかんないけど。 怒りや憎しみに愛が打ち勝つ描写(その結果の寛容)も見られたし、愛や寛容があるからこその誠実というのも思った。

愛や寛容に対する思いは最後に流れる完成した曲のギリシャ語合唱にも表れてると思う。ジュリーが辛い経験を越え、様々な出来事の中で彼女の内側の愛を昇華したからこそ、欧州統合のための協奏曲の中に聖書から引用したそのメッセージを盛り込めたんじゃないかなとも思う。

 

当時の当事者である人達にとっての欧州連合の発足って希望は強かっただろうし、それだけじゃなく様々な感情もまとってたと思う。そこに初っ端から『愛が無ければ』というメッセージをぶち込んだのも凄いことなのではないのだろうか。フランス政府の依頼でポーランド人監督が作った映画にって考えると意味深な感じもしちゃうけど。

 

あとなんだっけな、自暴自棄や思い出したくなさに物を捨てまくってたジュリーに対して路地裏フルートおじさんが言った「ものは大切にしろ」っていう台詞や初対面のジュリーに対してリュシールが言った「(物を)捨てられるタイプじゃないわ」っていう台詞も印象に残ってる。なんでだろう。まぁいいや。

 

ということで三部作の一作目は大当たりな映画でした。とてもいい映画だけど二度目見るのは勇気が要りそう。あと内容的に人にすすめづらいかな。前半重いし色々人間的だし。(なんで人間的だとすすめづらいのだろう)

でもとってもいい映画だよ?

 


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これは本編観た後に見ると面白かった。ジュリエット・ビノシェによる故クシシュトフ・キェシロフスキ監督の回想


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2作目の白も近いうちに観たい。白は僕の好きなジュリー・デルピー出るし、喜劇調らしいからもう少し気軽に観れそう。