感じたこと、思ったことノート

主観の瞬間的垂れ流し、混沌の整理、迷子の自分探し。井戸の底から雲の上まで。

羞恥心と電子書籍 プライバシーに支配される僕の行動

読書は僕にとってエネルギーを使うこともあり、そこまで沢山本を読むわけでもない。

本を読むことに対する1つの障壁だったのが、僕は自分の内面を探られるのを極度に嫌うことだったのだと思う。情緒面。

すぐに感情移入や自己投影して泣いてしまうのに、それを見られるのがとても嫌で人前ではその姿は隠し通してきた。本当はそういう作品が好きだけど、本になるとそれなりの1人の時間を確保しないといけないし、どうしても没入したいからプライバシー面の下準備が凄く必要。

 

その点映像作品は時間が短く、長編でも1話ごとの丁度良い区切りがあって気軽。本は手が出しづらいというのがあった。

 

さらにさらに、僕は本のタイトルから僕の興味というか、感動の根源というか、そういったものを察されるのもとても嫌だったので、買って家に置ける本はいつも偏っていた。どんだけ自意識過剰なんだよって話だけど、そこは譲れないの。殆ど無意識にやってた。

ここではそういう面を出すから結構情緒的な人間なんだって見えると思うけど、僕の実家の部屋の本棚はお堅い本ばっかり。学問的なものでも精神的なもの(と僕が判断したもの)は他の本の裏に隠れてたりする。僕にとっては羞恥的な興味を晒す弱点であって、思春期の子が隠し持つエッチな本と変わらないのだろう。

 

それは単なる偽装ではなく、知的興味もあったからそうなったわけだけど、発達の過程でどこかにターニングポイントがあったんだろうな。割と小さな頃から図鑑が好きだった。自分の内面の科学的な見地が好きな理屈っぽい僕はずっと支配権を得てきたわけで、情緒的な僕はなりを潜めていなければいけなかった。でもどちらが中心に居るかって言われれば明白で。

それ自体にペルソナとか意味づけをしたいわけでもなく、僕自身は色んなもののまとまりきらない塊なのだけど、情緒的な面は今でも外に出せないわけですね。だからここが捌け口の役割も果たしてるわけで。

 

結構好きなものは手元に置いておきたいコレクター気質だし、出来れば本は紙で読みたいんだけど、この性格なものでそれもまた難しいっていう。興味のあるものほど難しい。築き上げられたトリックみたい。

 

それでねそれでね、電子書籍って僕にとってはとても凄い発明だったんですよね。画期的な抜け道。

だって外から見たら単にタブレットか携帯見てるだけなのに本が読めるんだよ!人が近づいてきたらさっと別のアプリに変えられるし、部屋で皆が寝静まった後暗い中誰の目も気にせずに読むことも出来る。目には悪いだろうけど。

誰も僕が何の本を読んでいるか知る者が居ない。パスワードを破られない限り知られようがない。凄くない?おかげで携帯やタブレットが最高機密の詰まったデバイスと化した。僕のkindleとか中身がカオスになってる。読みたかった本が電子化していればジャンル関係なくすぐ読めるようになった。手軽に開けるし、海外でもすぐ手に入る。他言語版の入手も容易。すごい。

 

本当なら、子を持つ身としてはそういった親の蔵書に子がアクセスできるっていうのは魅力的なのだろうけど、僕にはそれはまだ難しいわけです。自分勝手だとは思うけど。

 

そんな僕だから、今ではまた逆転現象が起きて、映像作品より電子化された本のほうが手をつけるハードルが低くなった。家族が居るとね。

それだけ僕の行動はプライバシー、僕にとっての、恐らく多くの人より厳重に広く守られていなければならないプライバシーとその環境的変化が支配している。

部屋に篭って読めば良いじゃん。部屋でビデオ観るなり好きなことすれば良いじゃん。って思うでしょ。その部屋に篭るという行動が何かそういった行動をしていることを示唆してしまうから出来ない。

僕の行動に関心を持たれるばかりか、「何してるの?」って来られる可能性がある。それは自分の興味を隠さなきゃいけないのに、嘘をつくという行動のハードルが高いというジレンマを抱えた僕にとっては大きな危機ってわけさ。どの道後味が悪いでしょ。えっへん!

自意識の固まり…透明人間になりたい。

 

興味のある趣味もそこに興味を持っている姿を見られたくないから手を出せなかったり、という具合。その辺の優先順序もまた理解されづらい部分だけど、その積み重ねで現状の僕が出来ているわけで。そういった意味でも電子書籍も大きな変化の一翼を担うものなのかなと思う。

 

でね、電子版を買うわけなんだけど、やっぱり気に入った本は紙で読みたい!でも買えば僕のプライバシーが崩れるかもしれない…っていう新たなジレンマが発生していて。

困った性格だなぁと思う。

こういう人間が十分なお金を持つと隠しアパートや倉庫を借りたりするんだろうな。